屋外に出て、雨の匂いがツンとくる。

街が「まち」として機能していることを示すのに、街灯やビルから漏れた明かりのような目に見えるものだけでなく、匂いからその様子を想起させられるとは思わなかった。

雨の匂いは慣れてしまえばなんてことのない、ただの空気に過ぎないが、久しぶりに体を通り抜けるそれは、自分の心を変えてくれるような気がしてならない。

この感覚は寒さも影響しているのだろうか?もし冬がこの感覚を気付かせてくれたのなら、季節と天気という自然からの施しと捉えても面白そうだ。

これが「雪」ではなく「雨」がそうさせたというのも興味深い。

雨が降る「まち」は思ったよりも静かで、余計な音が入らない。だから、孤独を考えるのにちょうど良い。